歯ぎしり食いしばりの緩和方法の一つとしてボトックス注射(ボツリヌストキシン注射)を行っています。
歯に負担がかかることが原因で引き起こされる様々な問題を解消することができ、大切な歯とあごの関節を守ります。
ボトックス治療が適応となるか、お口の状態やレントゲン等での診断を行う場合があります。
※その際、別途検査費用(保険適用内)がかかります。

ボトックス治療とは?

ボトックス治療とは「ボツリヌストキシン製剤」をあごの筋肉である「咬筋(こうきん)」に注射することにより、筋肉の働きを抑えることを目的とした治療法です。アラガン社が製造している「ボトックス」という薬剤から名付けられたものが知られ、使われるようになりました。
ボトックス治療というと美容外科での「しわ・たるみ」の治療方法をイメージされる方が多いかもしれませんが、歯科でのボトックス治療は、歯ぎしりや食いしばり治療の1つとして行います。

歯科でボトックス注射できるの?

歯科でのボトックス注射は、口腔領域に治療目的で注射等を行うことは厚生労働省で認可されています。ボトックス注射はヒアルロン注射などの特別な技術を必要とせず、あごの筋肉である「咬筋(こうきん)」という表層にある大きな筋肉に一定量注入するものです。注射する上で避けなければいけない神経、血管もありませんでの、歯科医師が行っても問題は起きづらい注射となります。また、セミナーや勉強会を通じ、ボツリヌストキシン製剤の成分や副作用については把握しておりますので、ご不明ご不安な点がありましたらお気軽にご相談ください。

ボトックス治療がオススメな方

ボトックス治療は歯ぎしり食いしばりの改善に効果的です。
自覚のある方はもちろん、自覚がない方でも下記の症状がある場合、無意識に歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があります。

  • 歯がすり減っている

  • 歯の根元が削れている

  • 歯茎が下がっている

  • 肩こりや首こり、頭痛で悩んでいる方

  • 就寝中に歯ぎしりしていると言われる

  • 朝起きると顎が張っている

  • 詰め物や被せ物が繰り返し外れる・壊れる方

  • マウスピースを作ったが、気になって眠れない。続けられない。

  • 舌や頬の内側に歯型がみられる方

  • 顎関節症の症状がある方

  • 歯のヒビや知覚過敏がある方

 

歯ぎしり食いしばりによる悪影響

歯ぎしり食いしばりは無意識に行われる癖のようなもので、ストレスが関与しているとも言われています。

歯ぎしり食いしばりによって歯に力がかかり続けると、歯がすり減ったり割れたりするリスクが増えるだけでなく、歯の内部の組織が露出して歯がしみる知覚過敏が引き起こされる可能性もあり、神経がダメージを受けて痛みが出やすくなる恐れもあります。

顎関節症や歯周病にも深い関係


歯ぎしり食いしばりはあごの関節にも大きな負担がかかり、あごの痛みや口の開けづらさの原因となる顎関節症を発症してしまうこともあります。

さらに、歯ぎしり食いしばりは歯周病のリスクにもなります。一見関係ないようですが、歯ぎしり食いしばりは歯を支えているあごの骨にも影響を及ぼし、骨が吸収され歯が揺れて、最終的には歯の喪失にもつながります。

ボトックス注射のメリット

~歯ぎしり食いしばりの予防~

ボトックス注射は、歯ぎしり食いしばりの際に強張ってしまう咬筋に直接作用して筋肉を緩める効果があります。そのため、起きている間だけでなく睡眠中に無意識にしてしまう歯ぎしり食いしばりも緩和することができます。

~顎関節症の治療~

顎関節症の治療には、歯に装着するプラスチック製マウスピースを使用されることがあります。

これは噛み合わせの力を分散させ、歯やあごの関節への負担を軽減する目的で使用するものですが、嘔吐反射が強い方やお口にマウスピースが入ると気持ちが悪くなる方などはマウスピースでの治療が難しい場合があります。
ボトックス注射はお口の中に器具や装置を入れる必要がなく、嘔吐反射でお悩みの方にもオススメです。

~本来の顔の輪郭になる~

ボトックス注射により、発達し過ぎた咬筋が緩んで縮小するので、お顔も本来の細さに戻ることが期待できます。歯ぎしり食いしばりの治療が、副次的に小顔効果をもたらす場合もあります。

ボトックス注射の効果持続期間

個人差はありますが、治療後3~7日後で効果が現れます。その後、徐々に効果が薄れていき、3~4カ月ほどで効果がほぼなくなります。そのため、効果を継続させたい方は、3~4ヶ月の間隔で再度ボトックス注射を行います。

また、ボトックス注射を継続するにあたり、治療間隔が長くなる場合や治療の必要性自体がなくなる可能性もありますので、必ず治療を続けていく必要はありません。仮に薬が効きすぎた場合でも、時間の経過により元の状態に最終的には戻ります。

使用する製剤 NABOTA(ナボタ)について

野田阪神歯科クリニックで使用するボツリヌストキシン製剤は、韓国の大手医薬品メーカー「デウン製薬」が製造した「NABOTA (ナボタ)」です。NABOTAは開発国である韓国のKFDA(韓国食品医薬品安全庁)に認可されているとともに、品質管理にかかわる機関として世界屈指の米国FDA (米国食品医薬品局)の品質基準・安全基準もクリアしたボツリヌストキシン製剤です。FDAとは日本でいう厚生労働省にあたるような機関で、食品・医薬品等の販売流通において許可や違反品の取り締まりを行う行政業務を行っています。現在、米国FDAが承認しているボツリヌストキシン製剤は、NABOTAとアラガン社のボトックスビスタのみとなります。
また、 NABOTAは大韓民国新薬開発賞「技術輸出賞」を受賞、他にはない98.7%最高純度の天然系ボツリヌス毒素A型を含有しています。そして、世界60カ国余りに輸出契約を結んでいます。

未承認医薬品に関する注意事項について

  • (医薬品医療機器等法上の承認)未承認
  • (国内承認医薬品等の有無)類似製品の販売なし
  • (諸外国における安全性等に係る情報に関して)米国FDA・韓国KFDAによる安全基準クリア

ボトックス注射費用

両顎40u単位(片側20u単位)
15,000円(税込)

ボトックス注射に関する注意事項

~ボトックス注射後の痛みについて~

注射による投与となり、注射部位の腫れや内出血、疼痛などが出る場合もあります。また、最初の1週間は顎が重い、だるい等の症状を感じることもありますが、時間経過とともに自然に消えていきます。まれに、一時的に軽い頭痛を伴う場合もあります。

~ダウンタイムについて~

ダウンタイムはありません。治療後、ご帰宅いただき問題ありません。ただし、注射剤を患部に留めるため、数日間は頬部のマッサージをお控え下さい。

~運動や飲酒について~

歯科で使用するボツリヌス製剤の量は少量なので、当医院では特に制限を設けておりませんが、当日の過度な運動や飲酒はお控えいただければと思います。

~治療を受けられない方~

妊娠中や授乳中の方、もしくは妊娠の可能性がある方や妊娠をお考えの方、脊髄末梢神経の病気の方、アミノグリコシド系やポリミキシン等の抗生物質服用の方などは治療を受けることができません。
また、心臓血管の病気や免疫疾患、神経筋疾患の方などを含め病院にかかられている方は、主治医の許可が必要です。